PoE制御

PoE制御

1. 機能概要

PoE(Power over Ethernet) とは、Ethernet ケーブル (カテゴリ5e以上) を使って電力を供給する技術のことです。
本製品は、クラス4 受電機器へ給電可能な IEEE 802.3at に対応します。
IEEE 802.3atでは、

  • 電力供給側(給電機器) : PSE: Power Sourcing Equipment

  • 電力受電側(受電機器) : PD: Powered Device

と呼びます。
本製品は、給電方式として、ケーブルの信号線(1,2,3,6)を使用する Alternative A を採用します。

2. 用語の定義

特になし

3. 機能詳細

3.1. PoE 給電機能の有効/無効 制御

本製品のPoE 給電に対応しているポート (以下PoEポート) は、それぞれ以下のとおりです。

  • SWX2210P-10G : ポート 1-8

  • SWX2210P-18G : ポート 1-16

  • SWX2210P-28G : ポート 1-24

本製品では、工場出荷状態で、すべての PoEポートの給電機能が有効となっています。
ただしポートごとに給電機能を無効に設定することも可能です。
接続機器が通常のEthernet 機器の場合、給電を行わず 通常のEthernet ポート として動作します。

3.2. 給電クラスと同時給電可能なポートの最大数

本製品は、PoE 規格に準拠した給電機器として、 1ポートあたり最大30W の電力供給が可能です。
接続されたPDの検出と電力クラスの識別を自動的に行い、給電を開始します。
IEEE 802.3at で規定される電力クラスと同時に給電可能なポートの最大数について、以下に示します。

Class

受電機器の電力 (MAX)

給電機器の電力

同時給電可能 最大ポート数 (PoE供給可能電力上限)

SWX2210P-10G(124W)

SWX2210P-18G(247W)

SWX2210P-28G(370W)

0

13.0 W

15.4W

8

16

24

1

3.84 W

4.0W

8

16

24

2

6.49 W

7.0W

8

16

24

3

13.0 W

15.4W

8

16

24

4

25.5 W

30.0W

4 (*)

8 (*)

12 (*)

  • (*): 受電機器の電力使用量によって、記載しているポート数以上の同時給電が可能です。

3.3. ガードバンド

ガードバンドとは、不意の給電停止を避けるために最大供給電力に対して設定するマージンのことです。
給電可能電力量がガードバンド以下の場合、新たに接続されたPDに対しての給電を抑制します。
このガードバンドの値を適切に設定することにより、後から接続されたPDによって他のPDへの給電が停止されてしまうのを防ぐことができます。
本製品では、ガードバンドの値を0~30Wの範囲で設定することができ、デフォルトは7Wです。

3.4. 給電優先度

本製品はPoEポートごとに給電優先度の設定が可能です。
優先度は高い順に critical, high, low となり、デフォルトは全ポートlowの設定となります。
同じ優先度が設定されているポート間では、ポート番号の小さい方が優先度が高く、ポート番号順(1 → 2 → 3…​)に低くなります。
PDからPower via MDI TLVを含むLLDPフレームを受信した場合、LLDPフレームを受信したPoEポートでは、給電優先度の設定に関わらずLLDPフレーム内で指定された給電優先度で動作します。

3.5. PoE給電動作

本製品は電力使用量によって以下の処理を行います。

  • システム全体の電力消費量がPoE供給可能電力上限を超えようとした場合
    優先度の低い順にPoEポートからの給電を停止し、電力消費量がPoE供給可能電力上限内に収まるようにします。
    このとき、電力供給を停止したポートのPoE STATE LEDが橙点灯し、STATUS LEDも橙点灯します。
    また、SYSLOGに "PortX.X over system power limit" を出力します。

  • 給電可能電力量がガードバンド以下の場合
    既に給電を行っているPDへの給電は続行されますが、新たにPDを接続した場合には給電優先度に関わらずそのPDに対する給電は行われません。
    このとき、電力供給が行われなかったポートのPoE STATE LEDを橙点灯し、STATUS LEDも橙点灯します。

  • 特定のPoEポートの電力消費量がポート単位のPoE供給可能電力上限を超えた場合
    該当するPoEポートの給電を停止します。他のPoEポートへの給電は継続します。
    このとき、電力供給を停止したポートのPoE STATE LEDを橙点滅し、STATUS LEDは橙点灯します。
    また、SYSLOGに、"PortX.X over load" を出力します。

  • 電力使用量が上記以外 (正常範囲内) の場合
    PDへの給電を継続します。
    このとき、給電しているPoEポートのPoE STATE LEDは緑色に点灯します。

また、PoEポートの状態あるいは給電可能電力量に変化があった場合、以下の処理を行います。

  • 給電を開始した場合
    SYSLOGに、"PortX.X power on" を出力します。
    給電を開始したPoEポートのPoE STATE LEDを緑点灯します。

  • 給電を停止した場合
    SYSLOGに、"PortX.X power off" を出力します。
    給電を停止したPoEポートのPoE STATE LEDを消灯します。

  • 残りの給電可能電力量がガードバンド以下になった場合
    SYSLOGに、"guardband on" を出力します。

  • 残りの給電可能電力量がガードバンド以下の状態から回復した場合
    SYSLOGに、"guardband off" を出力します。

3.6. LLDPによる給電設定

本製品は、PDからPower via MDI TLVを含むLLDPフレームを受信したとき、PoEポートの給電動作を自動的に変更します。
本機能はLLDPフレームが受信可能なPoEポートでのみ動作します。
Power Via MDI TLVと変更される動作の対応は以下のとおりです。

Power Via MDI TLV (IEEE802.3) 変更される動作

Requested power priority

給電優先度

PD requested power value

PoEポートの電力割り当て

4. 関連コマンド

関連コマンドについて、以下に示します。
コマンドの詳細は、コマンドリファレンスを参照してください。

操作項目 操作コマンド

システム全体でのPoE給電機能の設定

power-inline enable

インターフェース単位でのPoE給電機能の設定

power-inline enable

PoEポートの説明文の設定

power-inline description

PoEポートの優先度の設定

power-inline priority

ガードバンドの設定

power-inline guardband

PoE給電情報の表示

show power-inline

6. PoEポートの給電設定

port1.8の給電機能を設定します。

Yamaha(config)#power-inline enable (1)
Yamaha(config)#interface port1.8
Yamaha(config-if)#power-inline description AP1 (2)
Yamaha(config-if)#power-inline priorty critical (3)
Yamaha(config-if)#power-inline enable (4)
Yamaha(config-if)#exit
Yamaha(config)#exit
1 システム全体のPoE給電機能を有効化 ※default設定の場合不要
2 PoEポートの説明文としてAP1を設定
3 PoEポートの優先度を最高に設定
4 インターフェースのPoE給電機能を有効化 ※default設定の場合不要

7. 注意事項

特になし

8. 関連文書

特になし