マルチキャスト

マルチキャスト

1. 概要

マルチキャストページでは、ProAVプロファイルごとに IGMPスヌーピングの設定変更と状態確認ができます。
AVoIP ネットワークでマルチキャストを使用する場合、一般的に IGMPスヌーピングを有効にすることが推奨されていますが、不適切な設定のまま運用するとトラブルに繋がることがあります。
IGMPスヌーピングの基本的な仕組みについて知ることで、本ページを使って IGMPスヌーピングの簡単なトラブルシューティングを行うことができます。

2. IGMPスヌーピングとは

IGMPスヌーピングとは、不要なマルチキャストトラフィックを転送しないようにする機能です。
通常、マルチキャストトラフィックは同一ネットワークに所属する全てのポートにフラッディングされるため、マルチキャスト受信端末が存在しないポートにもマルチキャストトラフィックが転送されてしまい、無駄に帯域を使用してしまいます。
一方、 IGMPスヌーピングが有効の場合、受信端末が接続されているポートに必要なマルチキャストトラフィックのみが転送されるため、帯域を節約することができます。
以下の例では、受信端末 A ( RX A )が Group A のマルチキャストトラフィックのみ、受信端末 B ( RX B )が Group B のマルチキャストトラフィックのみを受信したい場合において、フラッディングと IGMPスヌーピングの違いを表しています。
フラッディングの場合は RX A の接続ポートに Group A と Group B の両方が転送されますが、IGMPスヌーピングの場合は RX A の接続ポートに Group A のみ転送されます。

フラッディングの場合

IGMPスヌーピングの場合

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IGMPスヌーピングが有効のスイッチは、どのポートにどのマルチキャストグループを送信すべきか学習するために 「IGMP クエリー(IGMP Query)」「IGMP レポート(IGMP Report)」 を使用します。
以下の例では、 IGMP クエリーと IGMP レポートの処理の流れを表しています。

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  1. ネットワークの中で 1 台の代表スイッチが定期的に IGMP クエリーを送信します。この IGMP クエリーを送信するスイッチのことを 「クエリアー(Querier)」 と呼びます 。

  2. マルチキャスト受信端末は IGMP クエリーを受信すると、その応答として IGMP レポートを送信します。 IGMP レポートには受信端末が受信したいマルチキャストグループの情報が含まれています。

  3. スイッチは IGMP レポートの内容を盗み見(スヌーピング)することで、どのポートにどのマルチキャストグループを送信すべきか学習します。

学習したマルチキャストグループ情報は一定時間が経過すると自動的に削除されるため、正しい学習状態を維持するためには、同一ネットワーク内に 1 台のクエリアーが必ず存在する必要があります。
同一ネットワーク内に複数のクエリアーが存在する場合は、 1 台だけクエリアーを残して、それ以外のスイッチは自動的にクエリー送信を停止します。
なお、クエリアーが存在しない場合でも、受信端末側でマルチキャスト受信アプリケーションを起動したときなどに、受信端末が自発的に IGMP レポートを送信する場合もあります。
クエリアーが存在しない状況でマルチキャストグループ情報を学習してしまうと、他の受信端末の接続ポートにそのマルチキャストグループが転送されなくなることがあるため、ご注意ください。

3. このページの使い方

3.1. はじめに

本ページは、 IGMPスヌーピングに関する問題が発生した場合のトラブルシューティングツールとしてご利用いただけます。
ProAVプロファイルページからプロファイルを設定した場合、 IGMPスヌーピングは 有効 になっています。

本ページでは、 ProAVプロファイルごとに IGMPスヌーピングの設定変更と状態確認ができます。
最初に、ページ左上のプロファイルセレクトボックスから、プロファイルを選択してください。
ProAVプロファイルが設定されていない場合は、ProAVプロファイルページからプロファイルを設定してください。

3.2. 警告メッセージ

IGMPスヌーピングが有効のとき、スイッチが不適切な設定になっていることを検出すると警告メッセージが表示されます。
警告メッセージが表示された場合は、設定を見直し、必要に応じて設定の変更を行ってください。

  • 警告メッセージ

    表示メッセージ

    警告の対処方法

    プロファイルに設定された IGMP バージョン (V2) と受信した IGMP クエリーのバージョン (V3) が一致していません。
    IGMP クエリーのバージョンと同じバージョンに設定してください。

    IGMPバージョンを変更する

    同一ネットワークにクエリアーが存在しません。
    IGMP クエリー送信を有効にしてください。

    クエリー送信機能を有効にする

3.4. ProAVプロファイルごとに IGMPスヌーピングに関連する以下の設定を変更することができます。

  • IGMPスヌーピングの設定

    • 無効 ( IP マルチキャストパケットをフラッディングする )

      • IGMPスヌーピングを無効にします
        マルチキャストパケットは、同一 VLAN 内のすべてのポートに常に転送されます

    • 有効 ( IP マルチキャストパケットの転送を制御する )

      • IGMPスヌーピングを有効にします
        マルチキャストパケットは、受信したい端末が接続されたポートにのみ転送されます
        受信端末とマルチキャストルーター間で交換される IGMP メッセージを監視 ( スヌーピング ) することにより、マルチキャストパケットのフラッディングを抑制でき、ネットワークの使用帯域を抑えることができます

  • バージョン

    • IGMP バージョンを以下の項目から選択します

      • IGMPv3

      • IGMPv2

  • IGMP クエリー

    • 送信しない
      IGMP クエリー送信機能を無効にします

    • 周期的に送信する
      IGMP クエリー送信機能を有効にします。送信間隔は 20 秒 - 18000 秒の範囲で設定できます

  • 未知のマルチキャストフレームの処理方法

    • 未知のマルチキャストフレームの処理方法を以下から選択します

      • フラッディングする

      • 破棄する

    • IGMPスヌーピングを無効にする場合は、自動的に「フラッディングする」が選択されます。

3.5. IGMPスヌーピングの状態を確認する

ProAVプロファイルごとに、 IGMP レポート/クエリーの学習状態を確認することができます。

「マルチキャストグループ」のセレクトボックスでグループを選択すると、現在の IGMP レポート/クエリーの学習状態が表示されます。
学習状態が表示されたポートにマウスオーバーすると、 IGMP レポート/クエリー情報の詳細がツールチップに表示されます。
なお、同一ポートで IGMP レポートと IGMP クエリーの両方を受信している場合は、両方の情報がツールチップに表示されます。

  • IGMP レポート / クエリーの学習状態

    表示項目 ポート表示 ツールチップ情報

    IGMP レポート受信ポート

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    受信ポート情報
    最後に受信したレポート情報( IP アドレス、バージョン)

    IGMP クエリー受信ポート

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    受信ポート情報
    受信したクエリー情報( IP アドレス、バージョン)

マルチキャストグループの学習状況は時間経過によって変動するため、表示を更新する場合は「更新」ボタンをクリックしてください。

マルチキャストグループが IGMP レポートで学習されているとき、「マルチキャストグループ」のセレクトボックスにマルチキャストグループの IP アドレスが表示されます。
学習済みマルチキャストグループ宛のトラフィックは、 IGMP レポート受信ポートにのみ転送されます。

未知のマルチキャストグループは、「マルチキャストグループ」のセレクトボックスに表示されません。
ProAVプロファイルを設定している場合、未知のマルチキャストグループのトラフィックは破棄するように設定されます。
未知のマルチキャストグループをフラッディングしたい場合は設定を変更してください。

マルチキャストトラフィックを受信できない問題が発生した場合は、受信端末の接続ポートが橙色( IGMP レポート受信ポート)になっているか確認してください。
接続ポートが橙色になっていない場合、受信端末が異なるプロファイルのポートに接続されている可能性があるため、接続ポートのプロファイル設定を見直してください。
それでも解決しない場合は、 IGMPスヌーピングを無効にすることで問題が解消されることがありますが、 IGMPスヌーピングを無効にする場合は帯域が十分かどうか考慮したうえで無効にしてください。