IPv6基本設定

IPv6基本設定

1. 機能概要

本製品は、主に保守 (スイッチの設定操作) を行うために 以下に示す IPv6ネットワークの環境設定 に対応します。

  1. IPv6 アドレスの設定

  2. ルート情報の設定

  3. Neighbor キャッシュテーブルの設定

2. 用語の定義

RA (Router Advertisement:ルータ広告)

IPv6ネットワークで、ルータが所属するネットワークの機器に対して、アドレス情報やネットワーク設定などを自動設定する仕組み。

IPv6 アドレス

IPv6アドレスは、128ビットを16進数で表記します。以下のように、16bitごとに「:」で8つのフィールドに区切ります。

  • 2001:02f8:0000:0000:1111:2222:0000:4444

以下のルールで表記の省略が可能です。

  • 各フィールドの先頭が0の場合、0を省略可

  • 0が4個のフィールドは0の記述を1個に省略可

  • 0のみが連続する複数のフィールドは 全体で1箇所だけ「::」で省略可

上記のアドレスにこのルールを当てはめると以下のようになります。

  • 2001:2f8::1111:2222:0:4444

IPv6 リンクローカルアドレス

同一のセグメント内でのみ有効なアドレスで、以下の範囲のアドレス。

  • [開始] FE80:0000:0000:0000:0000:0000:0000:0000

  • [終了] FE80:0000:0000:0000:FFFF:FFFF:FFFF:FFFF

3. 機能詳細

3.1. IPv6アドレスの設定

本製品は、 VLANインターフェース に対して、 IPv6アドレスとプレフィックス長 を設定することができます。
設定方法としては、 固定設定RA (ルータ広告)による自動設定 に対応します。

  • IPv6アドレスを設定するには、該当VLANインターフェイスで、IPv6機能を有効にする必要があります。

    • IPv6機能の設定は、 ipv6 enable コマンドで行います。

    • IPv6機能を有効にすると、IPv6リンクローカルアドレスが自動的に割り当てられます。

  • IPv6アドレスの固定/自動設定は、 ipv6 address コマンドで行います。

  • IPv6アドレスは 1つのVLANインターフェースにのみグローバルアドレスとリンクローカルアドレスを1つずつ 設定することができます。
    IPv6アドレスが設定された状態で別のVLANインターフェースにIPv6アドレスを設定すると、古いほうのVLANのIPv6アドレスは削除されます。
    1つのVLANインターフェースに設定できるIPv6アドレスは、 固定設定または自動設定のどちらか となります。
    VLANインターフェースに割り振られているIPv6アドレスは、 show ipv6 interface コマンドで確認します。

3.2. ルート情報の設定

本製品は、Syslogメッセージの送信、NTPによる時刻合わせなどのIPv6ホストとして自発的にIPv6パケット送信する際、ルーティングテーブルを参照します。
本製品では、以下の機能を使用して、ルーティングテーブルを操作します。

  • VLANインターフェースのルート情報の設定

  • デフォルトゲートウェイの設定

  • ルート情報の表示

3.2.1. VLANインターフェースのルート情報

本製品は、VLANインターフェースに対してIPv6アドレスを設定すると、ネットワークアドレスとVLAN ID の対応をルート情報として自動で設定します。
VLANインターフェースに対して設定したIPv6アドレスを解放すると、上記設定を削除します。

3.2.2. デフォルトゲートウェイの設定

本製品は、ルーティングテーブルに設定されていないネットワークアドレスに対してIPv6パケットを送信する先をデフォルトゲートウェイとして設定することができます。

  • デフォルトゲートウェイの設定は、 ipv6 route コマンドで行います。

  • デフォルトゲートウェイの表示は、 show ipv6 route コマンドで行います。

3.2.3. ルート情報の表示
  • 本製品はルート情報として FIB(Forwarding Information Base:IP転送表)を持ちます。
    FIBは、IPパケットの転送判断時に参照するデータベースです。
    show ipv6 route コマンドで、FIBを確認することができます。

3.3. Neighbor キャッシュテーブルの設定

本製品は、IPv6パケットを送信する際、Neighbor Discovery (近隣検索)プロトコルを利用して、IPv6アドレスからMACアドレスを取得します。
IPv6アドレス と MACアドレス の対応は、以下の仕様でNeighbor キャッシュテーブルに保存されます。

  • Neighbor キャッシュテーブルで保存する Neighbor キャッシュエントリー は、以下の情報を管理します。

    • IPv6アドレス

    • MACアドレス

    • VLAN インターフェース

  • Neighbor キャッシュテーブルには、 最大10エントリー 保存されます。
    エントリーが最大に達した状態で新たなNeighborが見つかった場合、一番古いNeighborが削除され、新しいNeighborが登録されます。

  • Neighbor キャッシュテーブルに保存された動的エントリーは、 clear ipv6 neighbors コマンドでクリアすることができます。

  • Neighbor キャッシュテーブルの確認は、 show ipv6 neighbor コマンドで行います。

4. 関連コマンド

関連コマンドについて、以下に示します。
詳細は、コマンドリファレンスを参照してください。

機能種別 操作項目 操作コマンド

IPv6 アドレスの設定

IPv6アドレスの有効/無効設定

ipv6 enable/disable

IPv6アドレスの設定

ipv6 address

IPv6アドレスの表示

show ipv6 interface

IPv6アドレスのRA設定

ipv6 address autoconfig

ルート情報の設定

デフォルトゲートウェイの設定

ipv6 route

デフォルトゲートウェイの表示

show ipv6 route

ルート情報の表示

show ipv6 route

Neighbor キャッシュの設定

Neighbor キャッシュテーブルの表示

show ipv6 neighbors

Neighbor キャッシュテーブルの消去

clear ipv6 neighbors

5. コマンド実行例

5.1. IPv6ネットワーク環境の設定 (固定設定)

本製品にIPv6アドレスを手動設定して、リモート端末からアクセスを行う環境を整備します。

  • IPv6アドレスは、デフォルトVLAN (VLAN #1) に対して手動で設定します。

  1. デフォルトVLAN (VLAN #1) に対して 2001:db8:1::2/64 を設定します。

    Yamaha#configure terminal
    Enter configuration commands, one per line.  End with CNTL/Z.
    Yamaha(config)#interface vlan1
    Yamaha(config-if)#ipv6 enable (1)
    Yamaha(config-if)#ipv6 address 2001:db8:1::2/64 (2)
    1 IPv6を有効にする
    2 IPv6アドレスを設定する
  2. 設定したIPv6アドレス情報を確認します。

    Yamaha(config-if)#end
    Yamaha#show ipv6 interface brief
    Interface        IP-Address                                  Status                Protocol
    vlan1            2001:db8:1::2/64                            up                    up
                     fe80::2a0:deff:fe:2/64

5.2. IPv6ネットワーク環境の設定 (RAによる自動設定)

本製品にIPv6アドレスを自動設定して、リモート端末からアクセスを行う環境を整備します。

  • IPv6アドレスは、デフォルトVLAN (VLAN #1) に対して RA にて自動で設定します。

  1. デフォルトVLAN (VLAN #1) に対して RA を設定します。

    Yamaha#configure terminal
    Enter configuration commands, one per line.  End with CNTL/Z.
    Yamaha(config)#interface vlan1
    Yamaha(config-if)#ipv6 enable (1)
    Yamaha(config-if)#ipv6 address autoconfig (2)
    1 IPv6を有効にする
    2 RAを設定する
  2. RA により取得したIPv6アドレス情報を確認します。

    Yamaha(config-if)#end
    Yamaha#show ipv6 interface brief
    Interface        IP-Address                                  Status                Protocol
    vlan1            2001:db8::2a0:deff:fe:2/64                  up                    up
                     fe80::2a0:deff:fe:2/64

6. 注意事項

IPv6アドレスの設定を変更すると、リモートアクセス制御に関する以下のコマンドがすべて削除されます。
IPv6アドレス変更の際は十分にご注意ください。

  • telnet-server access

  • http-server access

  • tftp-server access

  • snmp-server access