IGMP Snooping

IGMP Snooping

1. 機能概要

IGMP Snoopingは、VLAN環境において余分なマルチキャストのフラッディングを制御することで、ネットワークの帯域幅の消費を抑える機能です。
L2スイッチでは、マルチキャストパケットはVLAN単位で配送されるため、VLAN内に1つでもマルチキャストパケットを受信したい端末が存在すると、同一VLAN内のすべてのポートにパケットが配送されてしまいます。

  • マルチキャスト配信時の動作(IGMP Snoopingなし)
    image

IGMP Snooping機能を使用すると、受信端末とマルチキャストルーター間で交換されるIGMPメッセージを監視 (Snooping) することで、マルチキャストパケットを受信したい端末が接続されたポートのみに該当グループのパケットを配信することができます。

  • マルチキャスト配信時の動作(IGMP Snoopingあり)
    image

2. 用語の定義

IGMP (Internet Group Management Protocol)

マルチキャストグループを制御するためのプロトコル。
マルチキャストルーターはLAN上のどのホストがマルチキャストグループのメンバーであるか判断でき、ホストは自分がどのマルチキャストグループのメンバーかを伝えることができます。
3つのバージョンがあり、 IGMPv1 (RFC1112)IGMPv2 (RFC2236)IGMPv3 (RFC3376) で規定されます。

マルチキャストルーターポート

マルチキャストルーターが接続されているLAN/SFPポートのこと。
IGMPジェネラルクエリーを受信したLAN/SFPポートをマルチキャストルーターポートとして自動で学習します。

IGMPレポート抑制機能

マルチキャストルーターとホスト間で行われる通信負荷をスイッチで抑制する機能。
抑制するために本製品がまとめるメッセージは、以下となります。

  • マルチキャストルーターから送られる IGMPジェネラルクエリー に対してホストが応答するIGMPレポート

  • ホストから通知されるIGMP leaveメッセージ

レポート抑制機能は、IGMPv1/v2/v3に対して動作します。

Fast Leave (高速脱退) 機能

IGMPv2/v3 離脱メッセージを受信したLAN/SFPポートを即座にマルチキャスト受信ポートから外す(転送に必要なFDBエントリーを削除する)機能。
本来、IGMPv2/v3の離脱処理では、離脱メッセージを受信した際、そのポートにグループスペシフィッククエリーを送信し、レシーバーの存在確認が行われますが、高速脱退機能が 有効 な場合、本動作を行いません。
このため、高速脱退機能は LAN/SFPポート配下に1つのレシーバーが接続されている場合にのみ効果的な機能 です。
なお、高速脱退機能はIGMPv2のLeaveメッセージおよびIGMPv3の離脱メッセージ受信時のみ動作します。
高速脱退機能が 有効 かつ auto-assignment オプションが指定されている場合、LAN/SFPポート配下にスイッチが接続されているポートでは、離脱メッセージを受信した際のレシーバーの存在確認を行います。
auto-assignment オプションを使用することで、スイッチをカスケード接続する構成でも高速脱退機能を使用することができます。

IGMP クエリー送信機能 (IGMP Querier)

IGMP ジェネラルクエリー、スペシフィッククエリーを送信する機能。
マルチキャストルーターがいない環境でIGMP Snoopingを機能させる場合に使用します。

マルチキャストルーターポートへのデータ転送抑制機能

マルチキャストルーターポートへ転送するマルチキャストデータを抑制する機能。
本来、マルチキャストルーターポートには、本製品が学習済みであるすべてのマルチキャストグループのデータが転送されますが、本機能が 有効 な場合、マルチキャストルーターポートでIGMPレポートを受信して学習済みとなったマルチキャストグループのデータのみ転送します。
スイッチ間に不要なマルチキャストデータが流れることで帯域が逼迫する場合は、本機能を 有効 にし、 l2-unknown-mcast discard コマンドと併用することで軽減できます。

IGMPレポート転送機能

IGMP Join/Leaveメッセージを、LAN/SFPポート配下にスイッチが接続されているポートに転送する機能。
本機能を有効にすることで、スイッチがカスケード接続されている構成において、非クエリアーのスイッチに対してIGMP Join/Leaveメッセージが転送されるようになります。
複数のマルチキャストデータが流れる環境で マルチキャストルーターポートへのデータ転送抑制機能 を使用する場合、本機能を 有効 にすることを推奨します。

3. 機能詳細

IGMP Snoopingの動作仕様について以下に示します。

  1. 本製品は、 IGMP v1/v2/v3 に対応したSnooping機能を提供します。
    本製品で機能させる上位バージョンを ip igmp snooping version コマンドで設定できます。
    バージョン設定は VLANインターフェース に対して行い、初期設定は v3 となっています。
    設定バージョンと受信フレームのバージョンの違いによる動作は以下となります。

    • 設定したバージョンよりも上位バージョンのIGMPクエリーを受信した場合、設定バージョンに下げてクエリーを転送します。

    • 設定したバージョンよりも上位バージョンのIGMPレポートを受信した場合、該当レポートを転送せずに破棄します。

    • 設定したバージョンよりも下位バージョンのIGMPクエリーおよびレポートを受信した場合、受信したバージョンのまま転送します。

  2. IGMP Snoopingの 有効 / 無効 設定は、 VLANインターフェース に対して行います。
    初期値は 無効 です。

  3. IGMP Snoopingの機能として、以下の6つに対応します。

    • マルチキャストルーターポートの設定

    • IGMPレポート抑制

    • Fast-leave(高速脱退)

    • IGMPクエリー送信

    • マルチキャストルーターポートへのデータ転送抑制

    • IGMPレポート転送

  4. IGMP Snoopingが 有効 に設定されているVLANインターフェースでは、 マルチキャストルーターポート自動で学習 しますが、 ip igmp snooping mrouter interface コマンドで静的に設定することもできます。
    なお、VLANインターフェースに設定されているマルチキャストルーターポートは、 show ip igmp snooping mrouter コマンドで確認します。

  5. IGMPレポート抑制機能 は、VLANインターフェースに対して ip igmp snooping report-suppression コマンドで設定します。
    初期値は 有効 です。
    レポート抑制機能により、IGMPレポート、IGMP leaveメッセージを送信する場合、送信元IPv4アドレスには、VLANインターフェースに割り振られているIPv4アドレスを使用します。
    (割り振られていない場合は、0.0.0.0を設定して送信します。)

  6. Fast-Leave(高速脱退)機能 は、VLANインターフェースに対して ip igmp snooping fast-leave コマンドで設定します。
    初期値は 無効 です。
    高速脱退機能が 有効 かつ auto-assignment オプションが指定されている場合、LAN/SFPポート配下にスイッチが接続されている場合に、そのポートでは自動的に高速脱退機能が 無効 になります。
    LAN/SFPポート配下にスイッチが接続されているか否かの判定には、当該ポートで受信したLLDPフレームの基本管理TLV「System Capabilities」に「Bridge」が含まれているか否かで判定します。
    そのため、 auto-assignment オプションを使用する際は、本製品と対向スイッチの両方でLLDPの送受信を有効にしてください。なお、本製品でLLDPを有効にした場合、基本管理TLVは常に送信されます。

  7. マルチキャストルーターが存在しない環境でIGMP Snoopingを使用するために、 IGMP クエリー送信機能 に対応します。
    IGMP クエリー送信機能は、以下の2つのパラメータで制御します。

    • IGMP クエリー送信機能の 有効 / 無効

      • VLANインターフェースに対して、 ip igmp snooping querier コマンドで行います。

      • 初期値は 無効 です。

    • IGMP クエリーの送信間隔

      • ip igmp snooping query-interval コマンドで行います。

      • 送信間隔は、20 ~ 18,000秒 の範囲で設定可能とし、初期値は 125秒 となっています。

  8. VLAN内に複数の機器がクエリーを送信する場合、VLAN内で最も小さいIPv4アドレスを持つ機器がクエリー送信を行います。
    本製品は、自身のIPv4アドレスより小さなIPv4アドレスを持つ機器からのクエリーを受信した場合、クエリー送信機能を停止します。
    なお、クエリー送信時に設定する送信元IPv4アドレスは、VLANインターフェースに割り振られているIPv4アドレスを使用しますが、割り振られていない場合は、他のVLANインターフェースに割り振られているIPv4アドレスを使用します。

  9. 本製品では、受信したIGMPパケットのTTL値が不正(1以外)だった場合、破棄をしないで強制的に"1"に変更する機能を提供します。
    本機能を "TTLチェック機能" と定義し、VLANインターフェースに対して ip igmp snooping check ttl コマンドで設定を行うことができます。
    TTLチェック機能 の初期値は 有効(TTL不正値のパケットを破棄) です。

  10. 本製品では、受信したIGMPv2/IGMPv3パケットにRA(Router Alert)オプションが含まれていない場合、破棄をしないでIPヘッダーにRAオプションを付与して転送する機能を提供します。
    本機能を "RAチェック機能" と定義し、VLANインターフェースに対して ip igmp snooping check ra コマンドで設定を行うことができます。
    RAチェック機能 の初期値は 無効(RAオプションが含まれないパケットを転送) です。

  11. 本製品では、受信したIGMPv3パケットのToS(Type of field)値が不正(0xc0以外)だった場合、破棄をしないで強制的に"0xc0"に変更する機能を提供します。
    本機能を "ToSチェック機能" と定義し、VLANインターフェースに対して ip igmp snooping check tos コマンドで設定を行うことができます。
    ToSチェック機能 の初期値は 無効(ToS不正値のパケットを転送) です。

  12. マルチキャストルーターポートへのデータ転送抑制機能 は、VLANインターフェースに対して ip igmp snooping mrouter-port data-suppression コマンドで設定します。
    初期値は 無効 です。

  13. IGMPレポートの転送機能 は、VLANインターフェースに対して ip igmp snooping report-forward コマンドで設定します。
    初期値は 無効 です。
    本機能が 有効 のとき、LAN/SFPポート配下にスイッチが接続されている場合に、そのポートに対してIGMP Join/Leaveメッセージを転送します。
    LAN/SFPポート配下にスイッチが接続されているか否かの判定には、当該ポートで受信したLLDPフレームの基本管理TLV「System Capabilities」に「Bridge」が含まれているか否かで判定します。
    そのため、本機能を使用する際は、本製品と対向スイッチの両方でLLDPの送受信も有効にしてください。なお、本製品でLLDPを有効にした場合、基本管理TLVは常に送信されます。

4. 関連コマンド

関連コマンドについて、以下に示します。
コマンドの詳細は、コマンドリファレンスを参照してください。

操作項目 操作コマンド

IGMPスヌーピングの有効/無効設定

ip igmp snooping

IGMPスヌーピング高速脱退の設定

ip igmp snooping fast-leave

マルチキャストルーターポートの設定

ip igmp snooping mrouter interface

クエリー送信機能の設定

ip igmp snooping querier

IGMPクエリー送信間隔の設定

ip igmp snooping query-interval

IGMPスヌーピングTTLチェックの設定

ip igmp snooping check ttl

IGMPスヌーピングRAチェックの設定

ip igmp snooping check ra

IGMPスヌーピングToSチェックの設定

ip igmp snooping check tos

IGMPバージョンの設定

ip igmp snooping version

IGMPレポート抑制機能の設定

ip igmp snooping report-suppression

マルチキャストルーターポートへのデータ転送抑制機能の設定

ip igmp snooping mrouter-port data-suppression

IGMPレポート転送機能の設定

ip igmp snooping report-forward

システムにおける未知のマルチキャストフレームの処理方法の設定

l2-unknown-mcast

システムにおけるリンクローカルマルチキャストアドレスの転送設定

l2-unknown-mcast forward link-local

VLANインターフェースにおける未知のマルチキャストフレームの処理方法の設定

l2-unknown-mcast

VLANインターフェースにおけるマルチキャストフレームの転送設定

l2-mcast flood

マルチキャストルーターポートの情報の表示

show ip igmp snooping mrouter

IGMPマルチキャスト受信者の情報を表示

show ip igmp snooping groups

インターフェースのIGMP関連情報を表示

show ip igmp snooping interface

IGMPグループメンバーシップのエントリー削除

clear ip igmp snooping

5. コマンド実行例

5.1. IGMP Snooping の設定(マルチキャストルーターあり)

マルチキャストルーターがある環境でIGMP Snooping機能を有効にして、マルチキャストグループに参加しているPC1、PC3にのみデータが配信されるようにします。

image

  • LANポート #1 ~ #4 は、 アクセスポートに設定し、VLAN #10 に所属 させます。

  • マルチキャストルーターがあるため、 IGMP クエリー送信機能は 無効 のままとします。

  • マルチキャストルーターポート の学習は、 自動学習 のみとします。(静的な設定は行わない。)

  • Fast-Leave(高速脱退)機能を有効 にします。

  1. VLAN #10 を定義して、IGMP Snoopingの設定を行います。

    Yamaha(config)# vlan database
    Yamaha(config-vlan)#vlan 10 (1)
    Yamaha(config-vlan)#exit
    Yamaha(config)#interface vlan10
    Yamaha(config-if)#ip igmp snooping enable (2)
    Yamaha(config-if)#no ip igmp snooping querier (3)
    Yamaha(config-if)#ip igmp snooping fast-leave (4)
    1 VLAN #10 の定義
    2 VLAN #10 のIGMP Snoopingを有効にする
    3 VLAN #10 のIGMP クエリー送信機能を無効にする
    4 VLAN #10 のIGMP Fast-leave機能を有効にする
    • IGMP クエリー送信機能の無効化は、初期値として設定されているため特に設定する必要はありません。

  1. LANポート #1 ~ #4 を アクセスポートに設定し、VLAN #10 に所属させます。

    Yamaha(config)# interface port1.1
    Yamaha(config-if)# switchport mode access
    Yamaha(config-if)# switchport access vlan 10
    (1)
    1 上記設定をLANポート #2 ~ #4に対しても行います。
  2. マルチキャストルーターポートの情報を確認します。(LANポート #1 につながっている)

    Yamaha#show ip igmp snooping mrouter vlan10
    VLAN    Interface             IP-address    Expires
    10      port1.1(dynamic)         192.168.100.216        00:00:49
  3. マルチキャスト受信者の情報を確認します。

    Yamaha#show ip igmp snooping groups
    IGMP Snooping Group Membership
    Group source list: (R - Remote, S - Static)
    Vlan   Group/Source Address    Interface      Flags   Uptime     Expires  Last Reporter   Version
    10     239.0.0.1                port1.2        R      00:00:13   00:00:41 192.168.100.2    V3
    10     239.0.0.1                port1.4        R      00:00:02   00:00:48 192.168.100.4    V3

5.2. IGMP Snooping の設定(マルチキャストルーターなし)

マルチキャストルーターがいない環境でIGMP Snooping機能を有効にして、マルチキャストグループに参加しているPC1、PC3にのみデータが配信されるようにします。

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  • スイッチ#A

    • LANポート #1 ~ #2 は、 アクセスポートに設定し、VLAN #10 に所属 させます。

    • IGMP クエリー送信機能を 有効 にします。
      IGMPクエリーの送信間隔を 20秒 とします。

  • スイッチ#B

    • LANポート #1 ~ #4 は、 アクセスポートに設定し、VLAN #10 に所属 させます。

    • マルチキャストルーターポート の学習は、 自動学習 のみとします。(静的な設定は行わない。)

    • Fast-Leave(高速脱退)機能を有効 にします。

    • IGMPパケットに不正なTTL値を設定する端末があるため、 TTLチェック機能を無効 にします。

  1. [スイッチ#A] VLAN #10 を定義して、IGMP Snoopingの設定を行います。

    Yamaha(config)# vlan database
    Yamaha(config-vlan)#vlan 10 (1)
    Yamaha(config-vlan)#exit
    Yamaha(config)#interface vlan10
    Yamaha(config-if)#ip igmp snooping enable (2)
    Yamaha(config-if)#ip igmp snooping querier (3)
    Yamaha(config-if)#ip igmp snooping query-interval 20 (4)
    1 VLAN #10 の定義
    2 VLAN #10 のIGMP Snoopingを有効にする
    3 VLAN #10 のIGMP クエリー送信機能を有効にする
    4 VLAN #10 のIGMP クエリーの送信間隔を20秒にする
  1. [スイッチ#A] LANポート #1 ~ #2 を アクセスポートに設定し、VLAN #10 に所属させます。

    Yamaha(config)# interface port1.1
    Yamaha(config-if)# switchport mode access
    Yamaha(config-if)# switchport access vlan 10
    (1)
    1 上記設定をLANポート #2に対しても行います。
  2. [スイッチ#B] VLAN #10 を定義して、IGMP Snoopingの設定を行います。

    Yamaha(config)# vlan database
    Yamaha(config-vlan)#vlan 10 (1)
    Yamaha(config-vlan)#exit
    Yamaha(config)#interface vlan10
    Yamaha(config-if)#ip igmp snooping enable (2)
    Yamaha(config-if)#no ip igmp snooping querier (3)
    Yamaha(config-if)#no ip igmp snooping check ttl (4)
    Yamaha(config-if)#ip igmp snooping fast-leave (5)
    1 VLAN #10 の定義
    2 VLAN #10 のIGMP Snoopingを有効にする
    3 VLAN #10 のIGMP クエリー送信機能を無効にする
    4 VLAN #10 のTTLチェック機能を無効にする
    5 VLAN #10 のIGMP Fast-leave機能を有効にする
    • IGMP クエリー送信機能の無効化は、初期値として設定されているため特に設定する必要はありません。

  3. [スイッチ#B] LANポート #1 ~ #4 を アクセスポートに設定し、VLAN #10 に所属させます。

    Yamaha(config)# interface port1.1
    Yamaha(config-if)# switchport mode access
    Yamaha(config-if)# switchport access vlan 10
    (1)
    1 上記設定をLANポート #2 ~ #4に対しても行います。
  4. [スイッチ#B] マルチキャストルーターポートの情報を確認します。(LANポート #1 につながっている)

    Yamaha#show ip igmp snooping mrouter vlan10
    VLAN    Interface             IP-address    Expires
    10      port1.1(dynamic)         192.168.100.216        00:00:49
  5. [スイッチ#B] マルチキャスト受信者の情報を確認します。

    Yamaha#show ip igmp snooping groups
    IGMP Snooping Group Membership
    Group source list: (R - Remote, S - Static)
    Vlan   Group/Source Address    Interface      Flags   Uptime     Expires  Last Reporter   Version
    10     239.0.0.1                port1.2        R      00:00:13   00:00:41 192.168.100.2    V3
    10     239.0.0.1                port1.4        R      00:00:02   00:00:48 192.168.100.4    V3

5.3. IGMP Snooping の設定(双方向でデータ配信する場合)

スイッチを2つ使用した構成で、どちらのスイッチにもマルチキャストサーバーとPCが接続されています。
各PCは参加するマルチキャストグループを頻繁に切り替えますが、途切れる時間ができるだけ短くなるようにします。

image

  • スイッチ#A

    • LANポート #1 ~ #4 は、 アクセスポートに設定し、VLAN #10 に所属 させます。

    • IGMP クエリー送信機能を 有効 にします。
      IGMPクエリーの送信間隔を 20秒 とします。

    • Fast-Leave(高速脱退)機能を有効 にし、対向スイッチ配下に複数のマルチキャスト受信者が接続されている場合に存在確認を行うため、 LLDPの送受信を有効かつauto-assignmentオプションを有効 にします。

    • IGMPレポート抑制機能を無効 にします。

    • マルチキャストサーバーやデータ配信の数が増えた場合にポートの帯域が逼迫する可能性があるので、最低限のものだけ転送するように マルチキャストルーターポートへのデータ転送抑制機能を有効 にします。
      また、 未知のマルチキャストフレームを破棄 するようにします。

    • 非クエリアへIGMPレポートを転送するため、 LLDPの送受信を有効かつIGMPレポート転送機能を有効 にします。

  • スイッチ#B

    • LANポート #1 ~ #4 は、 アクセスポートに設定し、VLAN #10 に所属 させます。

    • マルチキャストルーターポート の学習は、 自動学習 のみとします。(静的な設定は行わない。)

    • Fast-Leave(高速脱退)機能を有効 にし、対向スイッチ配下に複数のマルチキャスト受信者が接続されている場合に存在確認を行うため、 LLDPの送受信を有効かつauto-assignmentオプションを有効 にします。

    • IGMPレポート抑制機能を無効 にします。

    • マルチキャストサーバーやデータ配信の数が増えた場合にポートの帯域が逼迫する可能性があるので、最低限のものだけ転送するように マルチキャストルーターポートへのデータ転送抑制機能]]を有効 にします。
      また、 未知のマルチキャストフレームを破棄 するようにします。

  1. [スイッチ#A] VLAN #10 を定義して、IGMP Snoopingの設定を行います。

    Yamaha(config)# vlan database
    Yamaha(config-vlan)#vlan 10 (1)
    Yamaha(config-vlan)#exit
    Yamaha(config)#interface vlan10
    Yamaha(config-if)#ip igmp snooping enable (2)
    Yamaha(config-if)#ip igmp snooping querier (3)
    Yamaha(config-if)#ip igmp snooping query-interval 20 (4)
    Yamaha(config-if)#ip igmp snooping fast-leave auto-assignment (5)
    Yamaha(config-if)#ip igmp snooping report-suppression disable (6)
    Yamaha(config-if)#ip igmp snooping mrouter-port data-suppression enable (7)
    Yamaha(config-if)#ip igmp snooping report-forward enable (8)
    1 VLAN #10 の定義
    2 VLAN #10 のIGMP Snoopingを有効にする
    3 VLAN #10 のIGMP クエリー送信機能を有効にする
    4 VLAN #10 のIGMP クエリーの送信間隔を20秒にする
    5 VLAN #10 のFast-Leave機能とauto-assignmentオプションを有効にする
    6 VLAN #10 のレポート抑制機能を無効にする
    7 VLAN #10 のマルチキャストルーターポートへのデータ転送抑制機能を有効にする
    8 VLAN #10 のレポート転送機能を有効にする
  1. [スイッチ#A] LANポート #1 ~ #4 を アクセスポートに設定し、VLAN #10 に所属させます。

    Yamaha(config)# interface port1.1
    Yamaha(config-if)# switchport mode access
    Yamaha(config-if)# switchport access vlan 10
    (1)
    1 上記設定をLANポート #2 〜 #4に対しても行います。
  2. [スイッチ#A] 未知のマルチキャストフレームを破棄するようにします。

    Yamaha(config)#l2-unknown-mcast discard
  3. [スイッチ#A] LANポート #1でLLDPの送受信を有効にします。

    Yamaha(config)# lldp run
    Yamaha(config)# interface port1.1
    Yamaha(config-if)# lldp-agent
    Yamaha(lldp-agent)# set lldp enable txrx
  4. [スイッチ#B] VLAN #10 を定義して、IGMP Snoopingの設定を行います。

    Yamaha(config)# vlan database
    Yamaha(config-vlan)#vlan 10 (1)
    Yamaha(config-vlan)#exit
    Yamaha(config)#interface vlan10
    Yamaha(config-if)#ip igmp snooping enable (2)
    Yamaha(config-if)#no ip igmp snooping querier (3)
    Yamaha(config-if)#ip igmp snooping fast-leave (4)
    Yamaha(config-if)#ip igmp snooping report-suppression disable (5)
    Yamaha(config-if)#ip igmp snooping mrouter-port data-suppression enable (6)
    Yamaha(config-if)#ip igmp snooping report-forward enable (7)
    1 VLAN #10 の定義
    2 VLAN #10 のIGMP Snoopingを有効にする
    3 VLAN #10 のIGMP クエリー送信機能を無効にする
    4 VLAN #10 のFast-Leave機能とauto-assignmentオプションを有効にする
    5 VLAN #10 のレポート抑制機能を無効にする
    6 VLAN #10 のマルチキャストルーターポートへのデータ転送抑制機能を有効にする
    7 VLAN #10 のレポート転送機能を有効にする
    • IGMP クエリー送信機能の無効化は、初期値として設定されているため特に設定する必要はありません。

  5. [スイッチ#B] LANポート #1 ~ #4 を アクセスポートに設定し、VLAN #10 に所属させます。

    Yamaha(config)# interface port1.1
    Yamaha(config-if)# switchport mode access
    Yamaha(config-if)# switchport access vlan 10
    (1)
    1 上記設定をLANポート #2 ~ #4に対しても行います。
  6. [スイッチ#B] 未知のマルチキャストフレームを破棄するようにします。

    Yamaha(config)#l2-unknown-mcast discard
  7. [スイッチ#B] LANポート #1でLLDPの送受信を有効にします。

    Yamaha(config)# lldp run
    Yamaha(config)# interface port1.1
    Yamaha(config-if)# lldp-agent
    Yamaha(lldp-agent)# set lldp enable txrx
  8. [スイッチ#A] マルチキャスト受信者の情報を確認します。

    Yamaha#show ip igmp snooping groups
    IGMP Snooping Group Membership
    Group source list: (R - Remote, S - Static)
    Vlan   Group/Source Address    Interface      Flags   Uptime     Expires  Last Reporter   Version
    10     239.0.0.1                port1.1        R      00:00:02   00:00:48 192.168.100.3     V3
    10     239.0.0.2                port1.1        R      00:00:02   00:00:48 192.168.100.4     V3
    10     239.0.0.3                port1.3        R      00:00:04   00:00:46 192.168.100.1     V3
    10     239.0.0.1                port1.4        R      00:00:03   00:00:47 192.168.100.2     V3
  9. [スイッチ#B] マルチキャストルーターポートの情報を確認します。(LANポート #1 につながっている)

    Yamaha#show ip igmp snooping mrouter vlan10
    VLAN    Interface                 IP-address    Expires
    10      port1.1(dynamic)          192.168.100.240        00:00:25
  10. [スイッチ#B] マルチキャスト受信者の情報を確認します。

    Yamaha#show ip igmp snooping groups
    IGMP Snooping Group Membership
    Group source list: (R - Remote, S - Static)
    Vlan   Group/Source Address    Interface      Flags   Uptime     Expires  Last Reporter   Version
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6. 注意事項

未知のマルチキャストフレームの処理を変更したい場合は、 l2-unknown-mcast コマンドで行ってください。