L2MS (Layer2 Management Service)

L2MS (Layer2 Management Service)

1. 機能概要

L2MS (Layer2 Management Service)とは、ヤマハネットワーク機器をレイヤー2レベルで管理する機能です。
L2MSは集中制御を行う1台のマネージャーと、マネージャーから制御される複数台のエージェントで構成されます。
SWX2210Pは、L2MSのエージェントとして動作します。

以下にPC、マネージャーおよびエージェントの接続方法を示します。

  • L2MS 接続方法
    image

L2MSのマネージャーには、エージェントの管理を行うためのコマンドや、エージェントの設定や状態取得を行うためのWeb GUIが用意されており、これらを利用してエージェントの操作を行います。
マネージャーとエージェントはイーサネットケーブルで接続し、通信には独自プロトコルを使用します。

本機能は次のような特徴を持っています。

  • 初期設定が不要
    TELNETやWeb GUIを利用する場合、IPアドレスを設定する必要がありますが、本機能では独自プロトコルを使用して通信を行うため、エージェントへの初期設定は不要です。
    Ethernetケーブルを接続すると、マネージャーは、自動的に配下のエージェントを認識します。

  • 複数の対応端末を同時制御
    マネージャーは同時に複数のエージェントを認識し、制御することができます。

SWX2210Pを管理できるマネージャーについての詳細は、各L2MSマネージャーの技術情報を参照してください。

2. 用語の定義

マネージャー

L2MSおよびスイッチ制御機能のエージェントとして動作している、ヤマハネットワーク機器を管理する機器。
ネットワーク内のヤマハスイッチ、ヤマハ無線APを管理する。

エージェント

L2MSおよびスイッチ制御機能のマネージャーによって管理されるヤマハスイッチ、およびヤマハ無線AP。
マネージャーから設定の確認や変更を行うことができる。

3. 機能詳細

3.1. 対応機種

SWX2210Pをエージェントとして管理できるマネージャーは以下のリンクよりご確認ください。

3.2. L2MSのプロトコル

L2MSの制御には以下に示す独自プロトコルのL2フレームを使用します。

  • L2MSプロトコルのL2フレーム内容

    項目

    宛先MAC

    01:a0:de:00:e8:12 ~ 01:a0:de:00:e8:15

    Ethertype

    0xe812

マネージャー と エージェントとの間にファイアーウォールを設置する場合は、ファイアーウォールにこのL2フレームを通過させる設定を行う必要があります。
また、Yamaha LAN Monitor を使用してSWX2210PシリーズのファームウェアをL2MSで更新する場合、以下のユニキャストL2MSを使用します。

  • ユニキャストL2MSプロトコルのL2フレーム内容

    項目

    宛先MAC

    ユニキャスト送信先のMACアドレス

    Ethertype

    0xe813

3.3. エージェントの監視

マネージャーは定期的に探索フレームを送信することで配下のエージェントを監視します。
また、エージェントは探索フレームに対して応答フレームを送信することでマネージャーに自身の存在を通知します。

マネージャーから送信される探索フレームの設定についてはマネージャーの技術情報を参照してください。

3.4. エージェントの占有

1つのエージェントを複数のマネージャーが同時に制御することはできません。
このため、マネージャーは同一ネットワーク内に1台となるように設定してください。

エージェントが起動後に探索フレームを受信すると、当該エージェントは探索フレームを送信したマネージャーに管理された状態となります。
この状態は、以下のいずれかの条件により解除されます。

  • エージェントが探索フレームを30秒間受信しなかった場合

  • マネージャーが再起動したり、L2MSの管理状態がリセットされたりした場合

3.5. エージェントの操作

L2MSに対応したエージェントに対して、マネージャーから設定を行ったり、動作状態を取得したりすることを「エージェントを操作する」と言います。
各マネージャーには、エージェントを操作するためのコマンドやWeb GUIが提供されています。
詳しい操作方法については、各マネージャーの技術情報を参照してください。

3.6. エージェントからの情報通知

マネージャーに管理されているエージェントは、自身の状態が変化したり異常を検出したりすると、マネージャーに情報を通知します。

エージェントからの情報は、マネージャーのSYSLOGやWeb GUIに出力されます。
詳しくは、各マネージャーの技術資料を参照してください。

SWX2210Pが通知する情報は以下のとおりです。

  • ポートのリンクアップ/ダウン

  • ループの検出

  • ファンの異常停止

  • ポート単位の給電機能の状態

  • 機器単位の給電機能の異常

3.7. L2MSフィルター / non-L2MSフィルター

L2MSフィルター機能を使用することで、L2MS制御で使用するL2MS制御フレームの送受信を禁止することができます。
また、non-L2MSフィルター機能を使用することで、L2MS制御フレーム以外の送受信を制限することができます。
L2MSフィルター / non-L2MSフィルター はポート単位で設定することができ、それぞれ l2ms filter, non-l2ms filter コマンドを使用し、設定します。

3.8. L2MSの有効化 / 無効化

l2ms enable, l2ms disable コマンドでL2MSの有効 /無効を切り替えることができます。
L2MSを無効にした場合、L2MS制御フレームはL2MS制御フレーム以外のフレームと同様に転送され、L2MSマネージャーから管理することができなくなります。
初期設定でL2MSは有効です。

3.9. 初期IPアドレスについて

工場出荷の状態や cold start コマンド実行直後は、固定のIPアドレスが設定されています。(L2MSはエージェントとして動作する)
この時、マネージャーに管理されると、 自動的にDHCPクライアントの設定が行われます。

これは、エージェントが複数 存在した場合に、IPアドレスが重複することを回避するためです。
IPアドレスは、ネットワーク内のDHCPサーバーから配布されるので、HTTP Proxy経由でエージェントのWeb GUIへアクセスすることができます。
ネットワーク内にDHCPサーバーが存在しない場合 、IPアドレスが取得できませんので、マネージャーのLANマップにて、エージェントのIPアドレスの設定を行ってください。
設定が行われ、スタートアップコンフィグが保存されれば、以後、自動的にDHCPクライアントに設定されることはありません。

4. 関連コマンド

関連コマンドについて、以下に示します。
詳細は、コマンドリファレンスを参照してください。

  • インターフェース基本機能 関連コマンド一覧

    操作項目 操作コマンド

    L2MSモードへの移行

    l2ms configuration

    L2MS機能の設定

    l2ms enable

    L2MS制御フレームの送受信設定

    l2ms filter

    L2MS制御フレーム以外のフレームの送受信設定

    non-l2ms filter

    L2MS情報の表示

    show l2ms

5. コマンド実行例

5.1. L2MSフィルターの設定

  • LANポート#1 (port1.1) において、L2MS制御フレームを送受信しないようにします。

    Yamaha(config)#interface port1.1
    Yamaha(config-if)#l2ms filter enable

5.2. L2MSの設定

  • L2MSを無効化し、L2MSマネージャーから管理できないようにします。

    Yamaha(config)#l2ms configuration
    Yamaha(config-l2ms)#l2ms disable

6. 注意事項

L2MSを利用する際の注意事項については各マネージャーの技術情報を参照してください。

6.1. 他機能との併用について

6.1.1. ループ検出機能との併用

ループ検出機能でブロッキング状態になったポートではL2MSの通信を行うことができません。

6.1.2. リンクアグリゲーションとの併用

リンクアグリゲーションを使用している場合、L2MSの通信は「論理インターフェースに所属しているLANポートのうち、リンクアップしている最も小さい番号のポート」で行われているものと見なされます。
また、リンクアグリゲーションと接続端末の監視機能を併用しているときに、論理インターフェースに繋がっている先で端末を発見した場合、端末は「論理インターフェースに所属しているLANポートのうち、リンクアップしている最も小さい番号のポート」に繋がっているものと見なされ、該当ポート番号が表示されます。

構成1の場合は、L2MSの通信がport1.1同士で行われているものと見なされます。
構成2の場合は、L2MSの通信がマネージャーのport1.1とエージェントのport1.1とで行われているものと見なされます。

image

6.1.3. ルーターL2MSマネージャーのスイッチ制御コマンドの使用

ルーターL2MSマネージャーのスイッチ制御コマンドはSWX2200シリーズ用のコマンドであり、SWX2210Pシリーズに対しての使用は非対応です。

ただし、switch control function execute start-poe-supply コマンドおよび switch control function execute stop-poe-supply コマンドによる給電制御には対応しています。

7. SYSLOGメッセージ一覧

L2MSによって出力されるSYSLOGを以下に示します。
出力されるメッセージには、"[ L2MS]"というプレフィックスが付与されます。

出力レベル メッセージ 意味

Informational

Start L2MS(Agent)

エージェントとしてL2MSが起動した。

Start management by manager (<Manager_MAC_Address>)

マネージャーの管理下に入った。

Release from manager (<Manager_MAC_Address>)

マネージャーの管理下から外れた。

Received config from manager (<Manager_MAC_Address>)

マネージャーからCONFIGを受信した。

Restart for update settings.

マネージャーから受信したCONFIGを反映し、再起動を行った。

Send config to manager (<Manager_MAC_Address>)

マネージャーにCONFIGを送信した。