IPv4基本設定
IPv4基本設定
1. 機能概要
本製品は、主に保守 (スイッチの設定操作) を行うために 以下に示す IPv4ネットワークの環境設定 に対応します。
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IPv4 アドレスの設定
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ルート情報の設定
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ARP テーブルの設定
3. 機能詳細
3.1. IPv4アドレスの設定
本製品は、 VLANインターフェース に対して、 IPv4アドレスとサブネットマスク を設定することができます。
設定方法としては、 固定設定 、 DHCPによる自動設定 に対応します。
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IPv4アドレスの固定/自動設定は、 ip address コマンド で行います。
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IPv4アドレスを設定しない状態にすることはできません。
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DHCPによる自動設定を指定した際の動作は、以下となります。
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Discover/Requestメッセージに HostNameオプション (オプションコード12)を付加することができます。
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DHCPサーバーに対して要求するリース期間は、 72時間固定 となっています。(実際にリースされる期間はDHCPサーバーの設定に依存します。)
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自動設定されている状態で ip address コtマンドを実行し固定設定に変更すると、取得していたIPv4アドレスの解放メッセージをDHCPサーバーに送ります。
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DHCPサーバーより取得した情報は、 show dhcp lease コマンドで確認します。
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IPv4アドレスは 1つのVLANインターフェースにのみ 設定することができます。
IPv4アドレスが設定された状態で別のVLANインターフェースにIPv4アドレスを設定すると、古いほうのVLANのIPv4アドレスは削除されます。
VLANインターフェースに割り振られているIPv4アドレスは、 show ip interface コマンドで確認します。 -
初期状態では、 デフォルトVLAN (VLAN #1) に固定で 192.168.100.240/24 を設定してあります。
3.2. Auto IP機能
本製品は、IPv4アドレスの設定機能として、MACアドレスをベースにIPv4リンクローカルアドレスを自動生成する Auto IP 機能を提供します。
Auto IP機能は、DHCPサーバーからIPv4アドレスが割り当てられない場合にのみ機能します。(前提として、IPv4アドレス設定がDHCPに設定されていること。)
自動生成したIPv4リンクローカルアドレスは、ARPによりネットワーク上で重複していないか確認します。
アドレスが重複していないことを確認できた場合に生成アドレスの使用を開始します。
なお、Auto IPによりIPv4リンクローカルアドレスが決定した後に、DHCPサーバーからIPv4アドレスが割り当てられた場合、IPv4リンクローカルアドレスを破棄して、DHCP サーバーからのアドレスを使用します。
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Auto IP機能は、 IPv4アドレスが設定されているVLANインターフェイスのみ有効 です。初期状態では デフォルトVLAN (VLAN #1) が有効となっています。
3.3. ルート情報の設定
本製品は、Syslogメッセージの送信、NTPによる時刻合わせなどのIPv4ホストとして自発的にIPv4パケット送信する際、ルーティングテーブルを参照します。
本製品では、以下の機能を使用して、ルーティングテーブルを操作します。
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VLANインターフェースのルート情報の設定
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デフォルトゲートウェイの設定
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ルート情報の表示
3.3.1. VLANインターフェースのルート情報
本製品は、VLANインターフェースに対してIPv4アドレスを設定すると、ネットワークアドレスとVLAN ID の対応を
ルート情報として自動で設定します。
3.3.2. デフォルトゲートウェイの設定
本製品は、ルーティングテーブルに設定されていないネットワークアドレスに対してIPv4パケットを送信する先を
デフォルトゲートウェイとして設定することができます。
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デフォルトゲートウェイの設定は、 ip route コマンドで行います。
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デフォルトゲートウェイの表示は、 show ip route コマンドで行います。
3.3.3. ルート情報の表示
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本製品はルート情報として FIB(Forwarding Information Base:IP転送表)を持ちます。
FIBは、IPパケットの転送判断時に参照するデータベースです。
show ip route コマンドで、FIBを確認することができます。
3.4. ARP テーブルの設定
本製品は、IPv4パケットを送信する際、ARP (Address Resolution Protocol) を利用して、IPv4アドレスからMACアドレスを取得します。
IPv4アドレス と MACアドレス の対応は、以下の仕様でARP テーブルに保存されます。
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ARP テーブルで保存する ARP エントリー は、以下の情報を管理します。
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IPv4アドレス
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MACアドレス
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VLAN インターフェース
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ARP テーブルのエントリー数は、 最大512エントリー までが動作保証範囲です。
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ARP テーブルに保存された動的エントリーは、初期状態で 300秒 保持する設定になっています。
エントリーの保持時間の変更は、 arp-ageing-timeout コマンドで行います。 -
ARP テーブルに保存された動的エントリーは、保持時間に関係なく clear arp-cache コマンドでクリアすることができます。
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ARP テーブルの確認は、 show arp コマンドで行います。
4. 関連コマンド
関連コマンドについて、以下に示します。
コマンドの詳細は、コマンドリファレンスを参照してください。
機能種別 | 操作項目 | 操作コマンド |
---|---|---|
IPv4 アドレスの設定 |
IPv4アドレスの設定 |
ip address |
IPv4アドレスの表示 |
show ip interface |
|
DHCPクライアントによる動的IPv4アドレスの設定 |
ip address dhcp |
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DHCPクライアントの状態の表示 |
show dhcp lease |
|
ルート情報の設定 |
デフォルトゲートウェイの設定 |
ip route |
デフォルトゲートウェイの表示 |
show ip route |
|
ARP テーブルの設定 |
ARP テーブルの表示 |
show arp |
動的エントリーの保持時間の設定 |
arp-ageing-timeout |
|
動的エントリーのクリア |
clear arp-cache |
5. コマンド実行例
5.1. IPv4ネットワーク環境の設定 (DHCP)
本製品にIPv4アドレスを設定して、リモート端末からアクセスを行う環境を整備します。
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IPv4アドレスは、デフォルトVLAN (VLAN #1) に対して DHCP にて自動で設定します。
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現在設定されているIPv4アドレスを確認します。
初期状態のままであれば、固定IPv4アドレス (192.168.100.240/24) が設定されています。Yamaha#show ip interface brief Interface IP-Address Status Protocol vlan1 192.168.100.240/24 up up
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デフォルトVLAN (VLAN #1) に対して DHCP を設定します。
※IPアドレスの変更により、本製品へのアクセスができなくなる可能性があります。変更の際は十分にご注意ください。Yamaha#configure terminal Enter configuration commands, one per line. End with CNTL/Z. Yamaha(config)#interface vlan1 Yamaha(config-if)#ip address dhcp Do you really want to change IP address? [y/N]:y
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DHCPサーバーから払い出されたIPアドレスにTELNETでアクセスし、ログインします。
Username:****** Password:****** SWX2210P-10G Rev.1.03.03 (Thu Jan 16 13:20:45 2020) Copyright (c) 2018-2020 Yamaha Corporation. All Rights Reserved. Yamaha>enable Password:****** Yamaha#
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ログイン後、DHCPサーバー より払い出された情報を確認します。
Yamaha#show dhcp lease Interface vlan1 ----------------------------------------------------------------- IP Address: 192.168.1.9 Expires: 2019/10/13 18:47:32 Renew: 2019/10/12 18:47:32 Rebind: 2019/10/13 12:47:33 Server: Options: subnet-mask 255.255.255.0 default-gateway 192.168.1.1 dhcp-lease-time 172800 domain-name-servers 192.168.1.1 dhcp-server-identifier 192.168.1.1 domain-name domain.test
6. 注意事項
IPv4アドレスの設定を変更すると、リモートアクセス制御に関する以下のコマンドがすべて削除されます。
IPv4アドレス変更の際は十分にご注意ください。
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telnet-server access
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http-server access
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tftp-server access
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snmp-server access